Photo by Natsuko Takehara

倒れる稲と倒れない稲 台風で倒れた稲は、なぜ倒れたのか? その1

なぜ、稲は倒れるのか?

 

2016年の関東の稲刈り時期は、

雨や台風で、天候が悪いために稲刈りが遅れました。

 

稲が倒れた田んぼも多くありました。

 

 

Photo by Natsuko Takehara
 

台風や大雨で倒れる稲と倒れない稲、

何が違うと思いますか?

 

 

稲が倒れてしまうと、穂が田んぼの土にまみれ、

もみの中のお米まで傷んでしまうことや腐ることもあります。

 

 

雨が続く間に穂が発芽して、お米にならなくなることもあります。

稲の穂が田んぼの中で発芽することを、

穂発芽(ほはつが)といいます。

 

 

今年に限らないのですが、

毎年秋に、あっちこっちの田んぼを観察していると、

毎年のように、稲が倒れている田んぼもあります。

 

なぜ、その田んぼでは、毎年稲が倒れるのでしょうか?

なぜ、倒れないようにしないのでしょうか?

 

 

稲が倒れることを倒伏(とうふく)といいます。

 

倒伏する原因は何か?

 

 

答えは、簡単です。

稲の茎が細いから、弱いからです。

 

穂ができて頭が重くなると、

立っていられなくなるからです。

 

それに雨や台風が追い打ちをかけるからなんです。

 

 

この動画には、不耕起栽培の田んぼと慣行栽培の田んぼが、

映っているのですが、違いが判るでしょうか?

 



 

細い茎の稲を育てるから、倒れてしまう。

 

太い茎の稲を育てれば、多少のことでは倒れないし、

よじれ、かがんでしまっても、自分の力で起き上がってきます。

 

 

もちろん、稲が倒れるのに、

他の要因が無いわけではありません。

 

細い茎の稲を育てている以外にも、

原因になることはいくつもあります。

 

例えば、

田植えの時に苗を浅植えしている

稲刈り時期に茎や根が傷んでいて稲が弱っている

田んぼの硬盤(こうばん)が無く、土が深くでやわらかい。

 

これらも、稲が倒れる原因になります。

 

稲が倒れるのには、必ず原因があるというわけなんです。

 

 

稲が倒れるほど米が良く穫れる

 

新潟のような米どころでは、

稲が傾くほど良い、たくさん穫れるとも言われています。

 

穂が重くなり、籾がたくさんついているから、

稲が傾いているほうが、収穫量が多くなるというのです。

 

なるほど、と思いませんか?

 

Photo by Natsuko Takehara
 

同じ面積で、お米が沢山穫れれば、

その分だけ売り上げが増えるんですから、

稲作農家の気持ちとしては、たくさん稔らせたいですよね。

 

 

単純計算してみましょう。

 

米1俵(60kg)が、1万2千円で、

農協や問屋に売れると仮定しましょう。

 

10アール当たり8俵のお米が収穫できたら、

9万6千円の売り上げだという計算になります。

 

11俵を収穫できれば、13万2千円の売り上げです。

 

同じ面積で、同じ経費をかけて、労働力を使って、

10アール当たり、3万6千円の差は大きいですよね。

 

 

穂ができるまで稲には茎が無い

 

穂ができるまで、稲には茎がありません。

 

タケノコの皮のように、葉っぱの下の部分、

葉鞘(ようしょう)といわれるところが筒状に巻いていて、

それが重なって茎のように見えているだけなのです。

 

次の写真はすべて、茎がまだない状態の稲なんです。

 

photo by Natsuko Takehara
 

photo by Natsuko Takehara
Photo by Natsuko Takehara
 

穂の赤ちゃん、幼穂(ようすい)ができた時に、

初めて、幼穂の下に茎が作られます。

 

写真の幼穂は、約2週間目です。

あと2週間で出穂(しゅっすい)、開花になる状態です。

 

Photo by Natsuko Takehara
 

穂が育つのと一緒に茎や葉が育ちます。

 

穂ができた後は、新しい葉っぱが出ると、

新しい茎の節(節)が増えます。

 

この節と節の間のことを節間(せっかん)といいます。

 

穂が成長し伸びてくると、節も増えるわけです。

 

収穫までの見てわかる節の数は5~6個ぐらいになります。

 

茎が細いために倒伏する原因は、

後からできた第5、第6節間が細いことが原因です。

 

 

写真の稲の下の方の茎を良く見てください。

右の4本の方は、途中から茎が細くなっています。

 

Photo by Natsuko Takehara
 

第4、第5節間から細くなっているんです。

 

第5、第6節間が細くなっているより、

状態としては、さらに倒伏しやすい状態なんです。

 

第4節間が細く伸びあがっているということは、

幼穂形成期に、かなり強く肥料が効いているということです。

 

 

一発肥料を使うことが多くなると、

肥効が長続きするので、

生殖成長期に入っても、稲は背丈を伸ばすからです。

 

そのため、穂長も、比較的長くなるようですが、

田んぼで与えている肥料が、

倒伏型の稲に育て上げているというわけです。

 

遺伝子操作で、倒伏しない稲の品種を開発しても、

肥料のやり方、選び方では、

倒伏型になると言えるかもしれません。

 

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